海のレシピ project

Saiki

ブリが来遊するリアス式海岸

[大分県 佐伯市]

2022.05.12 UP

食材の調理方法は身体にどのように影響するか。江戸時代に書かれた『本朝食鑑』に、日々の食事が健康を維持していくという「薬食同源」の考え方を読むことができる。歴史に学び、日本の食文化、食生活を見直すことも未来への行動の第一歩。

レシピ

HAKKO MARUNOUCHI 2022 Spring 連携企画

塩糀鰤と根菜の味噌汁と干し椎茸甘露煮と柚子胡椒のおむすび

「八雲茶寮」の総料理長・梅原陣之輔さん監修

[大分県佐伯市_ブリ]

成長とともに名前が変わる出世魚として知られるブリ。その生息域は広く、日本列島各地の沿岸域を春から夏に北上し、秋から冬に南下する回遊魚だ。旬は、産卵期前で脂が乗る12月から3月とされ、冬の味覚を代表する魚でもある。近年は、養殖が盛んになり、農林水産省の統計による主な収穫地は、鹿児島、大分、愛媛。良質のタンパク質、脂質に富み、ビタミン、ミネラルなどが豊富で栄養価が高い。
(大分では、柑橘系の抗酸化作用を持つ「かぼす」をエサに加え、鮮度をより長く保ち、香りよく、さっぱりとした「かぼすブリ」を生産している)

参考>
https://theoita.com/sanpinintro/1814/
https://www.pref.oita.jp/soshiki/16350/kabosugyo.html
https://oita.uminohi.jp/event/海上でブリの養殖を見学しました!/

[作り方]

大分県佐伯市で大切に育てられた「養殖ブリ」を塩糀に漬け込み、香ばしく焼き上げた魚をメインに据えたお味噌汁。大分県・糀屋本店の糀と同県産の大豆、平釡でゆっくり炊き上げた海塩を、手ごねで作り上げた昔ながらの味噌の2種類を用いて、根菜たっぷりに仕上げました。お味噌汁にかぼすを絞って食べるのは大分ならではのスタイル。かぼすの爽やかな酸味を添えて。

おむすびは、大分県産・干し椎茸を昆布出汁やお醤油、きび糖などで甘辛く炊き上げた「甘露煮」に香り良い柚子胡椒を混ぜ込み、大分県産の「つや姫」 (世界中農業遺産米※)でふんわり包みました。大分県・宇佐市で摘みたての生海苔から作る、香り高いバラ干しのりを振りかけたおむすびは、豊かな海と山に恵まれた佐伯市の情景が思い出されます。

塩糀鰤と根菜の味噌汁・作り方

材料4人分
鰤 小さめ4切れ / 煮干し12g / 塩糀 鰤の重量の10% / ミネラルウォーター600cc / 里芋大1個 / 白味噌25g / 蕪1個 / 赤味噌10g / 人参5cm / かぼすの輪切り1枚 / 牛蒡20cm / すりごま適量 / こんにゃく1/6枚 / 鰹節適量

作り方
2)鍋にミネラルウォーターと煮干しを入れて1時間以上置いておく。(頭と内臓に苦みがある場合は取り除いた状態で12g用意する)
2)鰤に塩糀を全体に馴染ませて10分以上置いておく。周りに付いている糀を拭いて、温めた魚焼きグリルなどで強火で5分ほど焼く(鰤の厚みにより加減する)。
3)牛蒡はささがきにしてさっと水で洗い水気を切っておく。こんにゃくは拍子切りにして茹でこぼしてアクを取る。里芋と人参は5mmほどの半月切りに、蕪は縦に十文字に1cmほどの厚さに切る。
4)蕪の葉があればさっと茹でて氷水に晒して色止めし、水気を絞って刻んでおく。カボスは4等分に切って種を取る。
5)1)の鍋に、里芋、こんにゃく、人参を入れて火にかけて沸々してきたらアクを取り除き蓋をして5分ほど煮る。残りの蕪と牛蒡を加えてさらに3分ほど煮る。
6)2種類の味噌を濾し入れて煮立つ直前で火を止める。お椀に注ぎ、2)の鰤と4)の蕪の葉、かぼすをのせ、すりごまと鰹節をかける。

干し椎茸甘露煮と柚子胡椒のおむすび・作り方

材料2個分
ごはん 茶碗2杯分/干し椎茸甘露煮 大さじ2/柚子胡椒 小さじ1/8/バラ干しのり 適量

作り方
1)干し椎茸甘露煮に柚子胡椒を混ぜる(柚子胡椒の量は好みで加減する)。
2)手に少量の水と塩を付けて、半分量のごはんを手に広げて真ん中をへこませ、1)の半量をのせて三角に結ぶ。
3)バラ干しのりを上部1/3くらいまでまぶす。


干し椎茸甘露煮

材料 作りやすい量
干し椎茸20g / たまり醤油大さじ2 / ミネラルウォーター150cc / 濃口醤油大さじ1 / 出汁がらの昆布(もしくは水に湿らせてふやかした昆布)100g / 酒大さじ2 / 味醂大さじ1 / 昆布出汁(なければミネラルウォーター)適量 / きび糖大さじ1 / 胡麻油小さじ2

作り方
1)干し椎茸はさっと洗ってミネラルウォーターに10時間以上冷蔵庫に入れて戻す。
2)1)の水気を絞り(戻し汁は取っておく)、軸を取り除いて5mm角に切る。出汁がらの昆布も同様に切る。
3)小鍋に2)の戻し汁に昆布だしを足して150ccにして加え、たまり醤油、濃口醤油、酒、味醂、きび糖を入れてかき混ぜる。2)の刻んだ椎茸と昆布も入れて中火にかける。
4)沸々としてきたらアクを取り、キッチンペーパーなどで落とし蓋をして弱火にして煮汁がなくなるまで煮る。まだ温かいうちに胡麻油を加えて馴染ませる。

海のレシピ・オススメ食材

バラ干しのり(吉四六のり)
大分県で採れた生の海苔を摘み取ったまま乾燥させ焼き上げた自然の味わい。選りすぐりのバラ干しのりだけで作られている。

一年熟成ゆずごしょう(旅館 黒嶽荘)
大分県の無農薬・契約栽培の“木なり完熟ゆず(木になったまま完熟させたもの)”と沖縄産の塩、無農薬の青唐辛子を混ぜ込み、1年以上熟成させたゆずこしょう。

「熟成与一味噌」と「早出し与一味噌」
大分県・糀屋本店の糀と同県産の大豆、平釡でゆっくり炊き上げた海塩を、手ごねで作り上げた昔ながらの味噌。3ヶ月熟成と1年熟成の2種類がある。

塩糀(右)
大分県産のお米と九州産の大豆に長崎産の塩。材料と手作りにこだわった糀屋本店の塩糀は、材料の一割を目安に使うだけでまろやかな旨味が引き出される。塩の代わりにさまざまな料理に用いることができる万能調味料。

糀屋本店
https://www.saikikoujiya.com

料理を担当したひと:
大黒谷寿恵(寿家主宰)
石川県金沢市出身。大学卒業後、料理の世界へ。2006年kurkku cafeのディレクター兼料理長に就任。独立後は講師、ケータリング、出張シェフ、レシピ開発を精力的に行う。2009年より鎌倉で料理教室「寿家」を開業。野菜や日本の伝統食材を用いた料理を得意とする。2015年に「にほんのごはん」のサイトを立ち上げる。共著に『和サラダ/和マリネ』(エイ出版)がある。

写真:高村瑞穂