海のレシピ project

Goto #2

広い海。波間で揺れ、太陽でおいしくなるひじきの力

[長崎県 五島市]

2021.11.17 UP

赤い色をした仲間のなかに一匹だけ、真っ黒な小さな魚のスイミーは、1963年にアメリカで出版された絵本の主人公。『スイミー』は、世界中で翻訳され、国も世代も越えて今もなお多くの人に愛され続けている一冊だ。自分だけ色が違うことにも価値を見いだし、懸命に生きていくスイミーは、現代の漁業で課題の一つとなっている未利用魚の姿にどこか重なるのではないか。

レシピ

長ひじきとドライトマトのアーリオ オーリオ

[長ひじき]

ひじきは、荒磯でもまれ、干潮時には潮風にさらされながら育つ多年草の海藻。11月ごろから生え始め、通常は1メートル以上に成長したひじきを5月ごろに収穫、乾燥されて市場に並ぶ。
日本では、縄文時代の土器片にひじきらしき海藻の付着(1)が認められ、また、江戸時代初期の料理書『料理物語』(寛永13(1636)年)(2)に「に物 あへ物によし」と記載があるなど、長い歴史をもつ食材だ。「長ひじき」はひじきの茎の部分で、しっかりした歯応えと海藻の風味を楽しめる。和の惣菜、煮物としてなじみの深いひじきにひと工夫。「長ひじきとドライトマトのアーリオ オーリオ」を考案してもらった。

(1)https://www.hijiki.org/trivia-history/
(2)https://opac.ll.chiba-u.jp/da/curator/900025072/KJ00004299331.pdf

作り方

アーリオ オーリオは、イタリア語で、にんにく・オリーブオイルのこと。長ひじきの特長を生かしたこの料理は、まるでイカスミのパスタのよう。五島の醤が磯の風味を醸し出し、にんにくの香りと赤唐辛子の辛みがピリリと味を引き締める。シンプルなレシピながら、イタリアンパセリが彩りを加え、ミックスナッツがアクセントとなる絶品。
一見、手間がかかりそうな長ひじきの調理の下ごしらえは、水につけて戻すだけ。生のトマトの栄養素が凝縮されたドライトマトはぬるま湯で戻すと、ほかの具材ともなじみやすくなる。気をつけたいのは、にんにくをフライパンで焦がさないようにじっくりと、香りを出すように炒めること。赤唐辛子を加え、オリーブ油に香りがついたら、水切りした長ひじきとみじん切りにしたドライトマトを加える。ジャーッという音とともに余分な水分がなくなり、油が全体に回ったら、隠し味に五島の醤を加える。

材料 2人分
長ひじき(乾燥)20g / 塩 ひとつまみ / オリーブ油 大さじ2/ 五島の醤(米麹)小さじ2 / にんにく1/2片 / ドライトマト 2個 / 赤唐辛子1本 / ミックスナッツ 大さじ1ほど / イタリアンパセリ2枝ほど

作り方
1)長ひじきをボウルに入れてたっぷりの水を注いで20分ほどおいて戻す。上からつまんでザルに取る。長過ぎるものは10cm程度に切る。
2)ドライトマトをぬるま湯に20分ほど浸けて戻し、微塵切りにする。
3)フライパンにオリーブ油と微塵切りにしたにんにく、種を取った赤唐辛子を入れて弱火にかけ、にんにくにが程よくきつね色に
  なったら1)の長ひじきと2)のドライトマトを加えて強火にする。
4)ひじきの水分が飛んだら、塩を振り、五島の醤を振りかけ手早く混ぜて皿に盛る。刻んだイタリアンパセリとミックスナッツを散らす。

料理を担当したひと:
大黒谷寿恵(寿家主宰)
石川県金沢市出身。大学卒業後、料理の世界へ。2006年kurkku cafeのディレクター兼料理長に就任。独立後は講師、ケータリング、出張シェフ、レシピ開発を精力的に行う。2009年より鎌倉で料理教室「寿家」を開業。野菜や日本の伝統食材を用いた料理を得意とする。2015年に「にほんのごはん」のサイトを立ち上げる。共著に『和サラダ/和マリネ』(エイ出版)がある。