海のレシピ project

Nihonbashi

豊かな海で獲れるタラから生まれた家庭料理

[東京都 日本橋]

2022.04.15 UP

『赤毛のアン』はひとりの女の子が爽やかに青春の扉を開き、大人になっていく物語。そこに登場するいくつものエピソードにあわせて、カナダ風家庭料理や手作りの小物を紹介する『赤毛のアンの手作り絵本』は読者を物語の中にさらに深く引き込んでくれる。家庭料理に注目すると、物語が書かれた時代から、自然環境が大きく変化していることにも気がつく。

トピックス

MSC「海のエコラベル」は豊かな海を守る取り組み

MSCジャパン・石井幸造さん

魚や水産加工品に水産エコラベルがついていることをご存じだろうか。海洋管理協議会(MSC)を始めとする、持続可能で環境に配慮した漁業の認証制度を管理・推進する団体は複数あり、国連食糧農業機関(FAO)が策定した国際的なガイドラインに則った水産エコラベルの普及に取り組んでいる。今回は、MSCの活動と、MSC「海のエコラベル」について話をうかがった。 MSCが管理、推進するMSC「海のエコラベル」がついている製品なら、水産資源や環境に配慮した持続可能なMSC認証を取得した漁業で獲られた水産物であることが証明されている。

「そもそもMSC認証ができたのは、マダラの乱獲がきっかけです。カナダ東部の大西洋、ニューファンドランド島沖は、かつて資源が豊富な海域で、マダラもたくさんとれていたのですが、過剰な漁獲により、資源が壊滅状態になってしまったことがありました。そこで、当時その海域でとられたマダラを原料とした加工食品を製造販売していた企業のユニリーバが世界自然保護基金(WWF)と協力して、MSC認証の仕組みを立ち上げたのです」とMSCジャパンのプログラム・ディレクター、石井幸造さん。

1997年、MSCは独立した非営利団体としてロンドンに設立。石井さんは2007年に日本事務所を立ち上げ、日本での普及活動を始めた。

日本事務所の設立当初、日本では水産資源への危機感はまだ薄く、魚が減ることを心配するような人は多くなかったようで、意識の変化を感じるようになったのは2016年ごろからだったという。適切な水産資源管理に加え、漁具の紛失や遺棄の問題、違法な漁業や労働問題などに対する国や企業による取り組みも増えてきているそうだ。

「減ってきてしまった資源でも、より厳しい管理をすることで回復してきている例は、日本でも海外でもあります。たとえばタイセイヨウクロマグロは、非常に厳しい漁獲量の制限を続けたことで資源が回復に向かい、MSC漁業認証を取得できた漁業もあります」

MSC認証には、持続可能な漁業に対する「MSC漁業認証」と、この認証を取得した漁業で獲られた水産物とほかの水産物が水揚げ後から最終包装される時点まで、混ざらないように厳密に管理するための「MSC CoC認証」がある。MSC漁業認証は、魚などの水産資源が枯渇しないよう、持続可能で、生態系への影響を最小限に抑えて漁業を行うために、厳格な規格が策定され、その規格を満たした漁業が取得できるもので、一度取得すると、5年間有効だが、毎年、監査を受けなければならず、認証取得の際に、改善のための条件がつく場合もあるという。MSC「海のエコラベル」がついた製品は、MSC CoC認証を取得した事業者によるものになる。

「エコラベルが付いた製品を消費者に選んでもらうことで、間接的ではあっても水産資源を守ることにつながり、持続可能な漁業に取り組んでいる漁業者を応援することになります。ここ数年は個人の方々がMSC認証のことをSNSで取り上げてくれることが多くなりました。SDGs関連の本や学校の教科書などでも紹介されています。コロナ禍で、食べるものへの意識がより高まり、エシカルということでも(MSC認証への)裾野が広がったように思います」

現在、MSC「海のエコラベル」がついた製品は、135カ国で販売され、5万を超える品目が登録されている。日本国内では、1,029品目(2022年3月31日現在)が登録されている。
私たち消費者は、環境に配慮された商品を購入するための目印にすることができる。また、マークがない商品でも、多くの企業や団体が、海を守るために様々な活動に取り組んでいることも心に留めておきたい。

お話を伺ったひと

MSCジャパン
プログラム・ディレクター
石井幸造さん
水産大学校卒。食品会社等勤務を経て、米国インディアナ大学にて環境政策・資源管理で公共政策学修士取得。その後、財団法人国際開発センターにて主任研究員として開発途上国での地域振興や環境関連プロジェクトに従事。2007年5月のMSCジャパン開設時より現職。プログラム・ディレクターとして日本国内でMSC認証やMSC「海のエコラベル」付き水産物の普及に努める。

MSCは、世界的に減少傾向にある水産資源の維持・回復に向け、認証とエコラベル制度を通じて持続可能で環境に配慮した漁業の普及を進めている国際的な非営利団体。

一般社団法人 MSCジャパン
〒103-0026
東京都中央区日本橋兜町9-15 兜町住信ビル3階

www.msc.org/jp

インフォメーション

その他の水産エコラベルの管理団体のご紹介

水産養殖管理協議会(ASC) 
https://jp.asc-aqua.org/
マリン・エコラベル・ジャパン協議会(MEL)
https://www.melj.jp/

写真:高村瑞穂