海のレシピ project

Nihonbashi

豊かな海で獲れるタラから生まれた家庭料理

[東京都 日本橋]

2022.04.15 UP

『赤毛のアン』はひとりの女の子が爽やかに青春の扉を開き、大人になっていく物語。そこに登場するいくつものエピソードにあわせて、カナダ風家庭料理や手作りの小物を紹介する『赤毛のアンの手作り絵本』は読者を物語の中にさらに深く引き込んでくれる。家庭料理に注目すると、物語が書かれた時代から、自然環境が大きく変化していることにも気がつく。

レシピ

たらの蒸し煮 マリラ流家庭料理

[真鱈(マダラ)]

ノルウェー、ロシア、アイスランドが主な漁業国とされるマダラは、太平洋産と大西洋産の二種類に分かれ、世界の市場に流通している。かつてカナダ東部でも豊富にとれていたが、乱獲により激減したため、一時は全面禁漁とされ、現在は、過去の漁獲量に応じて漁獲割り当てが決まるという強い制限がかけられている。
日本の国産マダラの漁獲量は、全体の7割以上が北海道で、岩手県、青森県と続く。魚へん(偏)に雪という漢字から連想できるように、冬季の魚だ。北日本では各地に特有の郷土料理があり、また、「たらふく食べる」という表現は、タラが貪食であることに由来するなど、なじみが深い。

[作り方]

『赤毛のアンの手作り絵本』で、カナダに伝わる典型的な家庭料理のひとつとして紹介されている「たらの蒸し煮」をつくる。
マダラは、脂肪分が少なくあっさりしているので、バターとの相性もよく、白ワインで蒸し煮にすることで素材の味が重層的になる。細めの棒状に切った人参と薄切りにした玉葱を炒めたソースにパセリを加えて彩りを添える。じゃがいもは粉ふきいもにする。粉ふきいもは、小学校の家庭科での調理実習でもおなじみだ。ゆでた後に水分を飛ばして粉が吹いたように仕上げることからこの名前がある。素朴にも見えるシンプルな料理でありながら、バターの風味が素材を引き立て、食する人の気持ちも温かくしてくれる。

材料 2人分
生鱈 2切れ / 人参 1/4本 / 玉葱 小さめ1/2個 / パセリ 適量 / じゃがいも 1個 / ナツメグ 少々 / バター 30g / 白ワイン 50cc / 水 50cc / ローリエ 1枚 / 粒白胡椒 5粒

作り方
1)鱈は皮の鱗をよく削ぎ、両面に薄く塩を振って10分ほど置き、出てきた水分を拭き取る。
2)人参は細めの棒状に、玉葱は薄切りに、パセリはみじん切りにする。
3)粉吹き芋を作る。じゃがいもは皮を剥いて、一口大に切って面取りして鍋に入れる。かぶるくらいの水と塩をふたつまみほど入れて火にかけ串がすっと通るまで茹でる。一度ザルに取り出し、鍋に戻して弱火で揺すりながら加熱して粉を吹かせる。バター5gとナツメグを振りかける。
4)鱈2切れがちょうど入るくらいの鍋かフライパンにバター5gを入れて弱火にかけ、2)の玉葱と人参、塩ひとつまみを加えてしんなりとするまで炒める。白ワインを加えて一煮立ちさせて、鱈をのせ、水とローリエ、パセリの軸、粒胡椒を加えて蓋をして強火にかける。沸いてきたら中火にして3分ほど煮て鱈を取り出す。
5)鍋を再び火にかけて沸々としてきたら火を止めて残りのバターとパセリの微塵切りを加えてバターが溶けるまで混ぜる。ローリエ、パセリの軸、粒胡椒を取り除く。
6)お皿にソースを敷き、鱈をのせ、粉吹き芋を添える。

point 鱈を蒸すときはふっくら仕上がるように火加減と時間に気をつける。

料理を担当したひと:
大黒谷寿恵(寿家主宰)
石川県金沢市出身。大学卒業後、料理の世界へ。2006年kurkku cafeのディレクター兼料理長に就任。独立後は講師、ケータリング、出張シェフ、レシピ開発を精力的に行う。2009年より鎌倉で料理教室「寿家」を開業。野菜や日本の伝統食材を用いた料理を得意とする。2015年に「にほんのごはん」のサイトを立ち上げる。共著に『和サラダ/和マリネ』(エイ出版)がある。