海のレシピ project

Onna

サンゴ広がる「海の森」が繋ぐバトン

[沖縄県 恩納村]

2023.09.26 UP

「サンゴは動物」。このことをどのくらいの人が知っているだろうか?世界中で約800種が生息し、沖縄だけでも約200種以上いるといわれている。南の海でサンゴが果たす役割は大きく、サンゴ礁は生態系の循環をうながす静かな森だ。「ものがたり」ではそんなサンゴが育む魚たちと海の壮大さを木版画で表現する名嘉睦稔の作品を、「トピックス」では沖縄県恩納村が取り組む「サンゴの村宣言」の活動を紹介する。

レシピ

モズクサンラータン

[モズク]

沖縄の海の魚たちに棲みかや食べ物を与えてくれる、母なるサンゴ。モズクなどの海藻類も、サンゴから生産される栄養分や酸素をもらって元気に育つ。沖縄本島の中心部に位置する日本屈指のリゾート地・恩納村では、コリコリとした歯応えのある「太モズク」と、なめらかでつるりとした「糸モズク」のよいところを合わせ持つ、魅力的な新品種を発見・開発。品質のよいモズクを生産するために海の環境を守りながら、その栽培に力を入れている。
モズクといえば酢の物が定番で、手軽に食べられる市販品もたくさんあるが、味付けなしの生モズクはさまざまな料理に使え、1パックの量も多くてお買い得。「海藻」というイメージに捉われず、麺や春雨のように使ってみるとレパートリーが広がる。すっぱ辛いサンラータンに加えればスープとのからみもよく、つるり、さっぱり!
モズクを身近なメニューに取り入れて、おいしく味わおう。それが、モズクの育つサンゴ礁の海への関心を高める、小さな一歩となることを願って。

[作り方]

材料(2~3人分)
■具
干しえび 3g/生姜 1/2片/沖縄モズク(生食用)60g/ゆで鶏(下記参照)1/3枚分/小松菜 1~2株/赤ピーマン 1個/長ねぎ 1/2本/えのきだけ 1/4袋/卵 1個
A 昆布 6g/水(できればミネラルウォーター)400㎖
B ゆで鶏の汁(下記参照)200㎖/紹興酒 大さじ1/干しえびの戻し汁

■調味料
太白胡麻油 大さじ1/しょうゆ 大さじ2/こしょう 適量/片栗粉 大さじ2/黒酢 大さじ2/ラー油 適量

手順
1)Aの昆布を水につけて3時間以上おく。

2)干しえびはヒタヒタのぬるま湯につけて戻す。ふっくらとしたら汁気をきってみじん切りにする(戻し汁はとっておく)。生姜はみじん切りにする。

3)モズクは洗って水気をきり、長ければ食べやすく切る。ゆで鶏は5㎝ほどの長さの食べやすい太さに裂く。小松菜はさっと塩ゆでして氷水に取り、水気を絞って3㎝長さに切る。赤ピーマンはせん切りにする。えのきだけは石突きを切り落とし、長さを半分に切ってほぐす。ねぎは斜め薄切りにする。

4)鍋に太白胡麻油を入れて中火で熱し、2)の生姜と干しえびを炒める。香りが出たらAとBを加え、沸騰させないように火を弱めて5分ほど煮て、昆布を取り出す。

5)モズク、赤ピーマン、えのきだけ、ねぎを加え、しょうゆとこしょうを加えて混ぜる。ひと煮立ちしたら、片栗粉を同量の水で溶いて回し入れ、とろみをつける。

6)卵を糸状に垂らして一呼吸置いてから、ゆっくりとかき混ぜる。ふんわりと浮いたら小松菜とゆで鶏を加えてひと煮立たちさせる。黒酢を加えてさっと混ぜ、器に盛ってラー油をかける。

[作り方]

ゆで鶏

手順
1)鶏むね肉(またはもも肉)大1枚は冷蔵庫から出して30分ほどおき、常温に戻す。皮をはがし、さっと洗って水けを拭き、余分な脂肪を除く。

2)鍋に水1ℓ、酒50㎖、塩17g、ねぎ(青い部分)1本分、生姜(薄切り)2~3枚水を入れて火にかける。沸騰したら鶏肉と皮を加えて火を止め、ふたをして20分ほどおく。

3)鶏肉を指ではさんで弾力が出ていることを確かめ、鍋ごと氷水につけて冷やす。冷めたら保存容器に入れ、汁に浸った状態を保って冷蔵庫で4~5日間保存可能。
※指ではさんでみて柔らかければまだ火が通っていないので、ゆで汁だけを再び沸騰させたところに鶏肉を戻し入れ、ふたをして余熱で火を通す。

料理を担当したひと:
大黒谷寿恵(寿家主宰)
石川県金沢市出身。大学卒業後、料理の世界へ。2006年kurkku cafeのディレクター兼料理長に就任。独立後は講師、ケータリング、出張シェフ、レシピ開発を精力的に行う。2009年より鎌倉で料理教室「寿家」を開業。野菜や日本の伝統食材を用いた料理を得意とする。2015年に「にほんのごはん」のサイトを立ち上げる。共著に『和サラダ/和マリネ』(エイ出版)がある。

文:奈良結子
写真:高村瑞穂