今ある資源ー未利用・低利用魚との向き合い方
[福岡県 福岡市]
2022.11.02 UP
ジャーナリストや料理人たちも海を取り巻く現状を熱心に追うようになっている昨今。海と私たちの食との間に立つ人々の想いから、「おいしい」の前後にある“現在”に触れてみよう。レシピでは、福岡の糸島や志賀島などで水揚げされる天然魚と未利用魚を、新鮮な状態で家庭に届けるミールパックのFishlle!(フィシュル)を活用したアレンジレシピをご紹介。
レシピ
「身に傷が付いてしまった」「サイズが揃っていない」「マイナーすぎて名が知られていない」。そんなふうに、味には全く関係のない理由で価値が付かず市場に出回らない魚たち、「未利用魚」は実に多く、日本の魚の総水揚げ量の3割以上を占めているのだそう。
今回は、福岡市を拠点とする株式会社ベンナーズが提供している、未利用魚を使いやすい形、食べやすい味付けで冷凍・販売するサブスクリプションサービス「フィシュル」の[未利用魚のピリ辛胡麻坦々]をラーメンのトッピングに活用してみた。
生でもおいしい白身魚を細かく切って、熱した油をジュッとかけ、ふっくらとした半生の食感を楽しむ趣向だ。一緒にパッキングされているペーストで和え、すっきりとした魚介スープのラーメンの上にこんもりと。
ご飯にのせてもおいしそう! さらにこのスープをかけたらどうだろう? スープなしの和え麺もいいかも……。食べ方のアイデアが、どんどん広がっていく。
材料(2人分)
中華麺 2玉/青梗菜 適量
■出汁
煮干し 20g/昆布 15g/水 1ℓ
■トッピング
フィシュル 未利用魚のピリ辛胡麻坦々(生食用) 1パック(または白身魚の刺身100~120g)/万能ねぎ 2本/ 醤油 小さじ1/炒り胡麻 大さじ1/胡麻油 大さじ1
※今回の未利用魚:マトウダイ
※フィシュルのピリ辛胡麻坦々のミールパックはあらかじめ、10〜15分ほど流水解凍しておく。
■スープ用
長ねぎ(白い部分)約20cm/にんにく 1/2片/生姜 1/2片/太白胡麻油 大さじ1/酒 大さじ2/塩 小さじ1/ラー油 約小さじ2/米酢(好みで)小さじ1
手順
1)出汁をとる。煮干しと昆布を分量の水に3時間以上浸し、鍋に入れて中火にかけ、ふつふつとしてきたら昆布を取り出す。沸いてきたら弱火にし、灰汁を取りながら3分ほど煮て煮干しを取り除く。
2)トッピングを作る。万能ねぎは小口切りにしてさっと水にさらし、水気を絞る。[未利用魚のピリ辛胡麻坦々]の胡麻ペーストを取り分けて、魚を5㎜角くらいに切り、醤油、万能ねぎ、炒り胡麻を加えて和える。
3)小さいフライパンまたは小鍋に胡麻油を入れて煙が出るまで熱し、2)に回しかけて手早く混ぜる。取り分けておいた胡麻ペーストも加えて和える。
4)長ねぎは縦に切り目を入れて芯を取り出し、みじん切りにする。外側は5㎜角に切る。にんにく、生姜をみじん切りにする。青梗菜は5㎝長さに切り、軸は6~8等分のくし形に切る。葉は食べやすい幅に切る。
5)スープを作る。鍋に太白胡麻油とねぎ、にんにく、生姜のみじん切りを入れ、弱火でじっくりと炒める。香ばしい香りがしてきたら酒を加えて中火にし、アルコールを飛ばす。1)の出汁を加えてひと煮立ちさせ、塩を加えて調味する。
6)別の鍋に多めの湯を沸かし、塩・油を各小さじ1ほど(分量外)加え、青梗菜をさっと茹でて取り出す。再び湯が沸いたら麺を茹でる。
7)丼2つに5㎜角に切ったねぎとラー油、好みで米酢を等分に入れ、5)のスープを注ぐ。麺の湯を切って加え、2)の胡麻坦々をこんもりと盛り、水気を絞った青梗菜を添える。
料理を担当したひと:
大黒谷寿恵(寿家主宰)
石川県金沢市出身。大学卒業後、料理の世界へ。2006年kurkku cafeのディレクター兼料理長に就任。独立後は講師、ケータリング、出張シェフ、レシピ開発を精力的に行う。2009年より鎌倉で料理教室「寿家」を開業。野菜や日本の伝統食材を用いた料理を得意とする。2015年に「にほんのごはん」のサイトを立ち上げる。共著に『和サラダ/和マリネ』(エイ出版)がある。
文:奈良結子
写真:高村瑞穂
インフォメーション
Fishlle!(フィシュル)
福岡市を拠点とする株式会社ベンナーズによる、サイズが不揃い・加工がしにくいなどの理由で市場に出回らない魚たちをさまざまな味付けでミールキットにして家庭に届けるサブスクリプションサービス。その月に獲れた新鮮な国産魚を特殊な冷凍技術で瞬間凍結。下味がついてアレンジしやすく、毎月いろいろな魚料理が楽しめます。
※今回の[ピリ辛胡麻坦々(生食用)]に使用された未利用魚はマトウダイでした。
https://fishlle.com