海のレシピ project

Sajima

タコは吸盤で“味わう”

[神奈川県 佐島]

2022.02.16 UP

小説家が食を言葉に綴るとき、読み手は必ず食欲を刺激される。五感を震わす作家・朝吹真理子のエッセイに登場した“パクチーたこ焼き”は、今すぐにでも作ってみたくなる一品だ。一年中手に入る食材でもある、タコ。身近な存在ゆえに、その生態を知るとまた違った見方ができてくる。私たち人間と頭足類タコの関係。あなたはどう捉えるだろうか。

レシピ

エスニックたこ焼き

蛸(タコ)

ほぼ一年中、日本国内で流通しているマダコは、瀬戸内産が6月~8月、三陸産は11月~12月ごろが旬。日本で消費されるタコの半分は国産で、ほかはモロッコやモーリタニアなどのアフリカ産だ。日本一のタコ水揚げ量を誇る明石では、底引き網による漁のほか、「たこつぼ」を使った漁や一本釣りも行われている。今回は、相模湾でとれたマダコを使う。タコと言えば明石産が有名だが、相模湾佐島漁港に水揚げされるタコも抜群の味で料理人らの高い評価を得ている。タコは疲労回復の効果が期待できる栄養素タウリンが豊富。和・洋・エスニックと料理のレシピも無限大に広がる。

[作り方]

[作り方]
ここでは、小説家の朝吹真理子さんのエッセイ「たこ焼きとバーボンチェリー」に着想を得て、大黒谷さんにレシピを考案、調理してもらった。
まるごと一杯のタコは、塩を振りかけて、しっかりもみ洗いする。吸盤も丁寧に水で洗い流し、ぬめりを取ったら、内臓と目、口を取り除く。鍋で沸騰した湯に塩を入れ、タコをゆでると足がきれいに丸くなる。よく火が通ったら粗熱をとってタコの下ごしらえは完了。

生地に香菜を加え、ナンプラーで味付けをしたら、いつものたこ焼きが趣を変えてエスニック料理の逸品になる。

材料 50個前後
薄力粉 100g / 米粉50g / 昆布12g / ミネラルウォーター700cc / 卵1.5個 / ナンプラー 大さじ1 / きび糖 小さじ1 / サラダ油 適量 / 茹で蛸 約150g / 香菜1袋 / セロリ 1/4本 / 乾燥あみエビ5g / 天かす50g / すだち1個
          
作り方
1)昆布とミネラルウォーターを鍋に入れて3時間以上置いておく。弱火にかけて表面から湯気が上がってきたら味をみて昆布の旨味が出ていれば昆布を取り除き、冷ます。
2)大きめのボウルに卵を溶いて昆布出汁550cc、ナンプラー、きび糖を加えてよく混ぜる。そこに薄力粉と米粉を合わせたものの半量を加えて泡立て器で下へ押すようにして粉を沈める。沈んだら残りの粉を加えて同じようにして、完全に粉が沈殿したらよくかき混ぜる。
3)蛸は1.5cm角に、香菜は1cm長さに、セロリは粗みじんに切る。
4)たこ焼き鉄板を熱し、サラダ油を満遍なく塗る。2)の生地をかき混ぜて一つの穴目掛けて一気に9分目の高さまで流す。蛸、セロリ、香菜、あみエビ、天かすを適量のせる。
5)生地の縁が固まってきたら、鉄板の溝にそって串で切り込みを入れて、ひっくり返し始める。生地の量が足りないものは足して綺麗な丸になるよう調整する。
6)よく焼けるところとそうでないところを移動させながら、全体に火が通ってきたら仕上げにサラダ油を刷毛などで塗って、表面をカリッとさせる。
7)皿に取り出し、切ったすだちを添える。好みでナンプラーや塩、香菜を足して食す。

point 生地にしっかりとエスニックな味付けを加える、あとは慣れが必要ですが焼き方。

料理を担当したひと:
大黒谷寿恵(寿家主宰)
石川県金沢市出身。大学卒業後、料理の世界へ。2006年kurkku cafeのディレクター兼料理長に就任。独立後は講師、ケータリング、出張シェフ、レシピ開発を精力的に行う。2009年より鎌倉で料理教室「寿家」を開業。野菜や日本の伝統食材を用いた料理を得意とする。2015年に「にほんのごはん」のサイトを立ち上げる。共著に『和サラダ/和マリネ』(エイ出版)がある。

写真:高村瑞穂