海のレシピ project

【Report】アイゴの干物をショートコースで

大分県佐伯市・やまろ渡邉、東京・御料理ほりうちを招き「日々これ食卓」を開催 

2023.12.01 UP

「海のレシピproject」はこれまで、約3年に渡る取材を通して海のなかで起きている現状や、海と共に生きる人々の声を聞いてきました。

そんななか大分県佐伯市で出会ったのが、こだわりの製法で加工した無添加干物を製造する水産物加工会社「やまろ渡邉」。渡邉正太郎会長や漁港でのインタビューで、丁寧に作られる商品はもちろんのこと、豊後水道でも問題となっている海藻を食べる魚「アイゴ」と「磯焼け」について学ぶ機会となりました。
おいしく食べることで磯焼けを減少させ、豊かな海の未来につなげていくことを目的とした「豊後水道のアイゴの一夜干し」をやまろ渡邉と共同開発・商品化したのは2022年のこと。

渡邉会長は値のつかない「アイゴ」を、水揚げされた全量買い取ることからスタートし、地元漁業者の方からの信頼を得るまで地道に取り組んでくださいました。
11月23日に開催した「日々これ食卓」では、そんなエピソードからこれまでの歩みを語ってくださり、海の温暖化が加速することで起こりえる問題を伝え、魚食文化を守るために取り組んでいるプロジェクトも紹介。私たちが少しずつでもできることについても、熱心に伝えてくれました。

*映像「海の森のアイゴのこと」

そして今回、この日のため「豊後水道のアイゴ一夜干し」を軸に、お料理を作ってくださったのは「御料理ほりうち」の堀内さやかさん。多忙な毎日と並行して日本各地の生産地へ赴き、生産者との交流も大切にしながら料理に向き合われていて、海の未来を考えるシェフチーム「Chefs for the Blue」のひとりでもあります。

魚種も豊富な豊後水道が育んだ魚を無添加で仕上げる「やまろ渡邉」の干物は、堀内さんも信頼を寄せる食材のひとつ。今回は技術力の高い製法で完成した「豊後水道のアイゴ一夜干し」を使って、秋野菜と合わせた3品が提供されました。

一皿ごとに堀内さんから調理法や工夫した点が語られ、さらに「アイゴ」への理解が深まるという時間。「豊後水道のアイゴ一夜干し」を食べたことがあるという参加者も、日本料理として上品に仕上げられた料理を満足気に味わっていました。

食事後はお二人を交えたクロストーク。料理を振り返るとともに、それぞれの立場からいま海が抱える問題を一般消費者に届けるために活動を続けるその熱量と、経験からの想いを聞くことができました。

「非常に勉強になり、かつ美味しい贅沢な時間でした」との声も聴くことができた今回の貴重な機会。
食にまつわる正直なものづくりに携わる方々を迎え、その想いに触れ味わうことで、楽しみながら考える「日々これ食卓」のテーマにふさわしく、お料理の美味しさによって会場に和やかさと一体感が生まれ、食の力のすばらしさを感じるひとときとなりました。

【日々これ食卓vol.10 第1回「無添加干物」】
献 立
・アイゴと菊菜と菊花の酢浸し (アイゴ、菊菜、菊花、根芋、ユミガタオゴノリ、紫芽)
・アイゴと季節の野菜の炊き合わせ (アイゴ昆布煮、大根、南瓜、牛蒡、茄子、人参、菜花)
・アイゴと秋キャベツの焼き煮浸し (アイゴ、キャベツ、塩蔵ひじき、ミニトマト、柚子)


【開催概要】
日々これ食卓 vol.10

<会場>
クラブヒルサイドサロン
(ヒルサイドテラスアネックスB棟2F 東急東横線[代官山駅]下車 徒歩3分)
<参加費>
一般:10,000円(税込)
クラブヒルサイド会員・学生:9,500円(税込)ショートコース3品、ペアリングドリンク1杯付き
※事前振込制。
<定員>
24名(要予約)

<主催>
クラブヒルサイド
スティルウォーター
<共催>
日本財団 海と日本プロジェクト、海のレシピproject(一般社団法人地球環境養育機構)
<協力>
Homeland


写真:村田麻実