海のレシピ project

【Report】海と私のものがたり

日常で海を思う時間を作る「ものがたり」と「食」のイベントを開催しました

2024.04.09 UP

2023年から取り組んできた海の思い出を集めるプロジェクト「うみつづり」のインスタレーション「海の螺旋(らせん)」の展示と、その思い出から生まれた小説「波間のラジオ」の初お披露目会を中心としたイベントを下北沢で開催しました。

3月28日~31日の4日間、「うみつづり」を可視化する「海の螺旋」のインスタレーション展示をreload ENTRANCE HALLにて行い、会場に訪れる人たちの海の思い出を集めました。3色の漁網で形作られたインスタレーションのなかでボランティアで参加してくれた大学生のみなさんと一緒に、訪れた一人ひとりに声をかけてカードをお渡しし、文章やイラストでそれぞれの海の思い出を綴ってもらいました。

思い出が書かれたカードは「海の螺旋」に括り付け、誰でも自由に読むことができます。朝は散歩で訪れる近隣の方たち、昼は国内外から訪れる観光客、夜は下北沢に遊びに来た方や会社帰りの人たちなど多くの人たちがひっきりなしに訪れました。ユニークなエピソードやかわいいイラストを見て笑顔になったり、友人や家族との思い出に共感したり、海外の方のメッセージを翻訳アプリで読んで想像してみたり。さまざまな人の海の思い出に、自身を重ね合わせて読む姿が印象的でした。子どもたちは漁網に関心を持ち、目をキラキラさせて「参加したい!」と楽しみながら思い出を書いてくれました。カードに思い出を記入して参加した人たちは、4日間で約400人(枚)となりました。

うみつづり」は思い出を集めるだけでなく、その思い出を元に、アーティストが新たな作品(小説や音楽、絵、料理など)を生み出すプロジェクト。

今回はショートショート作家の田丸雅智さんが小説「波間のラジオ」を執筆し、青柳拓次さんの音楽にのせて女優の鶴田真由さんが朗読する音声コンテンツを制作し、30日はその初お披露目の朗読&音楽会となりました。

3層の漁網を張り巡らせた天井、深いブルーを基調とした照明。会場に並ぶ、ブイなどの海洋プラスチックで作ったさいとうとおるさんの照明作品。まるで海の中にいるかのような雰囲気のなか、まずは青柳さんが奏でる、穏やかな波のような、ゆったりと力強いギターの音色が会場を包み込みます。しばらくして鶴田さんが舞台に登場し、「波間のラジオ」の朗読がスタート。少女、お母さん、おじいさん、ラジオのパーソナリティなどの登場人物を声で演じ分けながら、観客を物語の世界へ導きました。


後半のトークセッションでは、田丸さんに物語の執筆を依頼した経緯を説明。田丸さんはその依頼を受けてどのように「波間のラジオ」のアイディアを膨らませたか、また「うみつづり」で印象に残った思い出のエピソードなどを話しました。続いて鶴田さん、青柳さんも参加し、それぞれの海の思い出などを語りました。「波間のラジオ」の音声コンテンツは「うみつづり」のウェブサイトでどなたでもお聴きいただけます。

また30日のイベント会場では、海のレシピprojectがこれまでに取材で訪れた35の地域で出会った、海の食材を使い丁寧に作られた商品の販売やフードメニューの提供も行いました。フードメニューは、海のレシピprojectでレシピ開発を担当している石川県金沢市出身の大黒谷寿恵さんが考案。輪島の塩や石川の珍味ふぐの子を使ったおむすび、奥能登の海藻かじきを使ったお味噌汁、アイゴの干物を使ったカレースープなどを用意しました。


今回特別にユニバーサルベイクスとコラボレーションし、シーベジタブルの海藻を使った特別メニュー「海藻のゼッポリーニ」も連日人気で完売。たまたま通りがかった近隣の方がご近所の方に声をかけてくださるなど、海好きの環が広がり、多くの人にお勧めの商品を紹介することができました。

これからも「うみつづり」は、参加者をはじめとする多くの人びとの日常へ届けていくため、豊かに膨らんだ様々な海の思い出を小説や音楽、舞台などで活躍するアーティストと共に分かち合い、それぞれの表現方法によって作品化していきます。

このプロジェクトは生まれたばかり。まだまだ続きます。
みなさんの海の思い出を教えてください。


写真:高村瑞穂


開催概要
展示:2024年3月28日(木)〜31日(日)(下北沢・reload ENTRANCE HALL)
イベント:2024年3月30日(土)(下北沢・ADRIFT)
参加人数:「うみつづり」約400人、トークイベント約120人
会場構成:畝森泰行建築設計事務所 
協力:イノウエインダストリィズ、株式会社フェローズ、株式会社天洋丸
アートディレクション:direction Q
イラスト:ワタミユ
照明作品:さいとうとおる
企画運営:株式会社スティルウォーター

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【ご報告】
このたび開催したイベント参加費の一部、「わじまの海塩」「奥能登の塩」ご購入額、会場での募金額等をあわせまして「輪島朝市を応援する会」に寄付いたしました。
みなさまのご協力、誠にありがとうございました。

寄付先 輪島朝市を応援する会
寄付額 111,899円


被災された方々に、一日でも早く穏やかな日常が訪れることを願っております。
(海のレシピproject一同)